竜宮城や不如帰などにいる喧嘩師。
普段は明るい振る舞いを見せるが、
D,Dの喧嘩の誘いに対して
「俺は本当に憎い人間としか喧嘩しないんで・・・」
と返した彼の瞳には、誰にも消すことのできない深い怒りと哀しみの炎が宿っていた。

喧嘩師。
彼はその言葉の持つ重みを知っている。

平穏な日常。かけがえのない仲間たち。
その全てを失ったとき、彼の中の闇は鼓動を始めた。

彼は、無力を嫌う。
どんな綺麗ごとを口にしたって、力がなければ何もできない。
運命の歯車を壊すためには、何よりも力が必要だった。

彼は絶えず苦しみ、悩んできた。
絶えず自分に問いかけ続けた。

「あの時俺に力があったなら、幸せなんてものを掴むことができたのか?」

時の流れの遙かな底から
その答えを拾い上げるのは、
今となっては不可能に近い。

ならばこそ。
彼は進むしかないのだ。
最早何があろうと揺らぐことはない信念。
全てはあの男を倒すため。
そのためだけに、生きている。
「俺のようにはなるな。」

晴れることのない闇に心閉ざした彼の行く末を知る者は、誰一人としていない。
青空に笑い声を響かせながら、風のように駈けていたあの頃には、もう戻れない。

(ご愛読ありがとうございました!!妖先生の次回作にご期待ください!!)
最終更新:2011年08月12日 23:28